大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和60(さ)2 判決

主 文

原略式命令を破棄する。

被告人を罰金三万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二〇〇〇円を一日に換算し

た期間、被告人を労役場に留置する。

理 由

本件記録によると、東京簡易裁判所は、昭和五八年八月五日、被告人に対する毒

物及び劇物取締法違反被告事件(同庁昭和五八年(い)第四五三〇号)について、

「被告人は、昭和五八年七月二九日午後二時三九分ころ、東京都渋谷区ab丁目c

番先路上において、興奮、幻覚又は麻酔の作用を有する劇物であつて、政令で定め

るトルエン七〇ミリリツトルを、みだりに吸入する目的で所持したものである。」

との事実を認定し、毒物及び劇物取締法三条の三、二四条の三、同法施行令三二条

の二、刑法一八条、刑訴法三四八条を適用して、「被告人を罰金四万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金二、〇〇〇円を一日に換算した期間(

端数を生じたときは、それを一日に換算する。)被告人を労役場に留置する。右罰

金に相当する金額を仮に納付すべきことを命ずる。「旨の略式命令を発付し、この

略式命令は、昭和五八年八月二〇日確定したととが認められる。

しかしながら、毒物及び劇物取締法三条の三、二四条の三によれば、興奮、幻覚

又は麻酔の作用を有する毒物又は劇物の吸入目的所持の罪にかかる罰金の法定刑は

三万円以下であるから、これを超過して被告人を罰金四万円に処した右略式命令は、

法令に違反していることが明らかであるうえ、被告人のために不利益であるといわ

なければならない。

よつて、刑訴法四五八条一号但書により、原略式命令を破棄し、被告事件につい

てさらに判決することとする。

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原略式命令の確定した毒物及び劇物取締法違反の事実に法令を適用すると、被告

人の所為は、、毒物及び劇物取締法三条の三、二四条の三、同法施行令三二条の二

に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その所定金額の範囲内で被告人を罰金

三万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により、金二〇

〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置することとし、裁判官全員一

致の意見で、主文のとおり判決する。

検察官栗田啓二公判出席

昭和六〇年六月二〇日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 矢 口 洪 一

裁判官 谷 口 正 孝

裁判官 和 田 誠 一

裁判官 角 田 禮 次 郎

裁判官 高 島 益 郎

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